時は江戸時代、淀川は大阪京都を結ぶ交通の大動脈と して、多くの舟が往来していました,1616年の大阪夏の陣 のときに食料を運び、徳川方に協力した功績によって幕府 から淀川を往来する舟に、食料を売る特権を与えられた舟のことを「くらわんか舟」と言います。

当時、約4.5トンを積載できる三十石船が京都·伏見と大坂八軒家浜(大阪市中央区)の約40kmを往来していて、その三十石船に近付いて 「酒くらわんかい餅くらわんかい」などと呼びかけて商売していたことから、くらわんか舟と呼ばれるようになったそうです。

明治時代になると鉄道が開通されて淀川を往来する舟も急減し、次第にくらわんか舟も姿を消していきました。 このくらわんか舟が1番活躍していたとされるのが、大阪府枚方市です。 枚方市と淀川ブランド推進協議会とで協力をして昨年の12月に、「淀川ブランド再生物語」の企面第1弾として、くらわんか舟で売られていたお酒を「くらわんか酒」として蘇らせようとしています。 醸造費用の一部をクラウドファンディングしていて、約2千本の醸造を目指しています。 目標金額は50万円ですが、現時点ですでに110.8万円集まっています。
ただ、醸造するにあたって総額212万円がかかるため、2月末まで支援を募っているそうです。
「くらわんか酒」のコンセプトは、誰とでも気軽に飲めて値段以上の美味しさを持っていることです。そこで、枚方市内の米農家4軒の協力を得て、日本酒を造るための大阪府推奨米である新米ヒノヒカリを約930kg用意し、蔵元は交野市で江戸時代末期より代々酒造りを続けている山野酒造に依頼しました大衆酒のイメージで甘口に仕上げる予定で、通常の酒のように火入れをせずに生酒として届けてくれます。
また、くらわんか酒のラベルにもこだわり、淀川に自生するヨシから作ったヨシ紙を使用しています。ラベルデザインは枚方市在住の若手デザイナーが、川に浮かぶくらわんか舟を漢字の一にも見えるデザインを考え、この取り組みのはじめの一歩ということも表現しています。

今回、醸造されたくらわんか酒はクラウドファンディングで 支援された方への返礼品として送る予定で、一般の販売は 来年以降に本格的な販売を検討しています。また、三十石船を再現した観光船が運航するイベントで振舞うことも検討されています。
くらわんか酒は淀川再生物語の第1弾になりますが、かつて大阪は「天下の貨(たから)、七分は浪華にあり、浪華の貨、七分は舟中にあり」と記されるほど、水の都として栄えていました。

淀川はその基となった川であり、今回の企画がこれからの大阪の発展の大きな一歩となってくれる事を願わずにいられません。