世界で最もキャッシュレス文化が根付いているのは北欧 ですが、その中でも群を抜いてキャッシュレス社会が進んでいるのがスウェーデンです。

スウェーデン国立銀行によると、GDPに対する現金流通残高は約1.5%と世界トップです。一方、アメリカは約7.7%、ユーロ圏約10%であり、日本は約20%とキャッシュレス後進国となってハます。

現在、スウェーデン国内の銀行1600店舗のうち、900店舗ではすでに現金を置いていない状況です。スウェーデンがこれほどまでにキャッシュレス化を進めるのは、大きく二つの理由があります。

一つは脱税対策やマネ-ロンダリング、現金強盗などの犯罪防止のためです。 実際に2008年110件あった強盗発生件数は、2015年には7 件にまで減りました。

二つ目は現金を取り扱うコスト負担を減らしたいという理由です。銀行はキャッシュレス取引に移行すると、その手数料で収益をあげることが可能になります。

政府は店や交通機関などあらゆる場所でキャッシュレスを推進し、現金を使わない店に対して税法上の優遇措置を取っています。 同国は通貨「スウェーデンクローナ」のあり方も変えようとしています。
スウェーデン国立銀行は自らが発行するデジタル通貨「eクローナ」を検討しており、2018年末までに最終判断をする予定です。
このデジタル通貨を導入することで、 理論上は全ての取引が追跡可能となり、テロ資金の流出やマネーロンダリングの問題を事前に防ぐことができます。 世界もキャッシュレス社会に向かっています。
インド政府 は2016年11月、突然500ルピーと1000ルピー紙幣を廃止すると発表し、その数時間後には使えなくなるという措置を取りました。また欧州中央銀行は2018年中に高額の500ユーロ紙幣の発行を取りやめることにしています。
日本においても 2020年の東京オリンピック·パラリンピックの開催等を踏まえキャッシュレス決済の普及を掲げています。

しかし、治安が良いことや現金しか使えないお店も多くあり、キャッシュレス社会はまだまだ遠い先のようです。 国も企業もデジタル通貨への対応が急がれます。これから普及していくデジタル通貨は、通貨としての安定性や安全性を考えたとき、国が発行する通貨であったり、何か裏づけ のある通貨が選ばれることが考えられます。
スウェーデンのキャッシュレス社会は、これからのデジタル世界を垣間見せてくれているようです。