日本版「司法取引」制火が6月13より開始されます

2 016年に、可視化制度の導入や盗聴法の拡大などとともに刑事司法制度改革によって新設されたものですが、その特徴は、自ら狙した犯罪事実を取引材料にして自ら不起訴や刑の減免を得る、いわゆる自己負罪型の取引ではなく、他人の犯罪事実を取引材料にして自らの不起訴や刑の減免を得る捜査 公判協力型の司法取引であるということです。

捜査公判協力型などといえば聞こえは良いですが、要は他人を「売る」ことであり、「密告型」の司法取引という訳です。

アメリカでは、伝統的に犯罪捜査に取り入れられマフィア などの組織的犯罪や企業がらみの経済犯罪を搜査する際に役立てられてきました。重い罪を犯した犯人でも罪を自ら認めれば軽い刑で済むという、テレビや映画にも良く出てくる制度です. 重罪を犯していることが確夷なのに怪い罪ですぐ釈放されてしまうというところに、腑に落ちない方は多いと思われますが、アメリカではこうもしないと大量の刑事事件を処理することがおよそ不可能であるとも言われています。

日本ではこれまで導入されてこなかったのですが、2006年に入札談合など自己申告した企業の課徴金を減免する制度が導入され風向きが変わったとされています。
徐々に申告件数が増加し、 最近発覚したリニア談合不正事件でも関わったとされるゼネコン4 社のうち2社が申請したといわれています 。今回の制度での対象となる経済犯罪には談合のほかに粉飾決算、インサイダー取引や詐欺破産や特別背任などの会社法違反、租税に閲する罪などが挙げられています。 例えば租税に関する犯罪となれば会社ぐるみでの脱税事件などで逮捕された経理担当者が「すべて社長の指示だった」と供述すれば、社長は起訴される一方で本人は起訴を免れるというケースも起こり得そうです 。

その中で懸念されるのは、虚偽の供述で冤罪の増加です。

この点について日本版制度においては、取引の合意に至るまでの協識には必ず弁護士が立ち会い、合意も必要となります 。もっとも弁護士立会いで払拭されるわけではありませんが、今まで以上に犯罪に対して慎重さが求められますし、司法を含めたそれぞれの真価が問われる時代に入ってきたのではないでしょうか。