米国のイラン核合意からの離脱、そして同国に対する経济制裁の再開で、イランでの巨大ビジネスが頓挫する可能性が高まっています。

フランスの石油メジャーであるトタルは先週、イランへの投資を今後停止すると発表しました。

同社は前回の対イラン 制裁が終了した2015年以降、イランでの原油.天然ガス田の開発を積極的に進めてきました。特に、咋年サウスパース・ガス田フェース11プロジェクトの支配的な権益を取得する合意をまとめていましたが、このプロジェクトを停止するか方針だといいます。トタルは資金調達活動の9割以上に米銀が関 与しているため、イランとのビジネスを継続すれば二次的な制裁を受ける恐れがあり、ドル資金調達に影響しかねないと判断したようです。

米国のイラン制裁の再開はこれから6カ月かけて進められていきますが、最初の期限である8月6日までに、イラン政府のドル獲得ないし買い増しを助ける個人や企業は制裁を課されるため、トタルに追随する企業が今後も増えてくることが考えられます。

ドル調達の懸念は国民の間でも拡がっています。

イランの通貨リアルは、昨年から対ドルで下落が続き、4月に入り一時1ドル=6万リアルまで急落しました。
経済制裁を見据えた市民がドル買いに殺到したためと見られています。これを 受け4月10日には外貨取引が制限され、リアルの外貨取引を (大手銀行3行に集約することで為替レートは1ドル=4万2,000リアルに画定されました。 テヘラン市内には、大手銀行の近くに外貨を売買する両替商が 多くあります。貿易や渡航などで外貨を必要とする市民は、両替商 から外貨を購入することが一般的ですが、4月以降街中の両替商 を通じた外貨取引が禁止されています。さらに、本来公式レートで ドルの取引が可能である銀行窓口においても、ドルの一般的な売買は停止されています。米国の経済制裁に備えて、イラン政府は ドルを流出させないように取引を制限しています。
イランの石油業界とビジネスを行っている企業への経済制裁は 11月1日に再開されます.これにはイラン中銀と取引を行っている外国金融機閔も含まれます。米国は、自国の金融機関への制裁を回避したい諸外国に対し、期限内にイランからの原油輸入量を減らすように勧告しています。ドルの蛇口が閉められることで、イランの原油輸出も制限されるため、今回の経済制裁がイランに与えるダメージは計り知れません。